【Waves】Renaissance Compressor

公式( media Integration)から

http://www.minet.jp/brand/waves/renaissance-compressor/

 

f:id:sakuramodki:20160927072626p:plain

■Renaissance Compressor

合理化・最適化されたインターフェイスを特長とするRenaissance Compressorは、名高いC1 Parametric Companderと伝説的なL1 Ultramaximizer™の技術を採用し、クラシックな温かみのあるコンプレッションとエクスパンションを提供します。

Renaissance Compressor( 以下Rcomp )は非常に汎用的なコンプレッサーです。

ミックスからマスタリングまで幅広い場面、幅広いソースに使える定番といえるプラグインです。

 

音の傾向

Rcompの特徴はクリアな音です。

以前紹介したAPI 2500とは対極的に原音のニュアンスをそのままにコンプすることが得意です。

 

もちろんこのコンプでもアナログライクな音作りはできます。

あとで説明しますが、倍音の乗り方を調整するWarm / Smoothスイッチがあるのでアナログのような倍音を付加することも可能です。

 

どのソースにおいても非常にきれいにかかってくれるので、アナログ特有のコンプレッションされている感じを明確に出したいときには、API 2500SSL G-Master Buss Compdbx 160 compressorCLA-2Aなどのプラグインを使うことを検討してみてください。

 

機能について

Rcompで設定できるパラメータは

 - リリースモード(Manual / ARC)

 - コンプの挙動(Electro / Opto)

 - キャラクター( Warm / Smooth )

 

リリースモードのARCについては後で説明しますので、まずはコンプの挙動について説明していきたいと思います。

コンプの挙動はElectroとOptoから選ぶことができます。

Electroは電子式、Optoは光学式までは想像がつくかと思います。

Optoという名前がついていますがCLA-2Aのような電子光学式コンプレッサのモデリングというわけではありません。

 

Electro / Optoはゲインリダクション(GR)が3dBの上下でどのような挙動をするかというパラメータです。

mode GRが3dB以下 GRが3dB以上
Electro  GRが0に近づくに連れて、徐々にリリースが短くなる GRが増えるに従ってリリースタイムが長くなる
Opto  GRが0に近づくに連れて、徐々にリリースが長くなる GRが増えるに従ってリリースタイムが短くなる

 

この GR3dBを境にした挙動の違いがRcompの一番の特徴と言えます。

Electroは高いゲインのところはなだらかに潰し、低いゲインのところはピークだけを潰していく音圧を稼ぐときに適した挙動です。

 

Optoはビンテージコンプのような音に迫力を出す挙動です。

 

多くのソースではElectroの設定のままで問題ないと思いますが、音が合わないときにはOptoも試してみる、というぐらいのイメージでいても問題ないと思います。

 

このようにRcompはGRが3dBを超えると挙動が変わってくるので

- コンプがかかり始めるスレッショルド

- 挙動が変わり始めるスレッショルド( GR=3dB )

の2つの挙動を使い分けて潰していくことができます。

スレッショルドとレシオの調整でうまくニュアンスを使い分けていきたいですね。

 

ちょうどクラブミュージックで言うところのブレイクでピークだけ潰して、ブレイク明けのキックベースが乗ってくるところでは平坦に潰す、ということができるプラグインです。

 

ARC( Auto Release Control )について

Wavesお家芸的な機能ですが、ソースの状況を読み取り自動的にリリースタイムを調整する機能です。

音圧を稼ぐ時にはピークが立っている音ではリリースを短く、平均的なところでは長めのリリース、というようにソースの状態によって異なるリリースが必要です。

ARCはそのようなトリートメントが必要なソースに対して適切に処理をしてくれるリリースモードです。

wavesのマニュアルで言うところの『very responsive vintage program compressors: とても感度の良いビンテージコンプ』になります)

 

一つ注意してほしいのはARCをONにしてもreleaseのパラメータは無効にならない、ということです。

 RcompのARCは自分で設定したリリースタイムを基準として動作します。

そのため短めのリリース、長めのリリースなどは自分で設定する必要があります。

先ほどのコンプの挙動でもリリースは変わるのでそれぞれのソースと設定に適したリリースを選びましょう。

 

ゲインについて

RcompはS1同様にアウトプット段にL1相当のリミッターがついているプラグインです。

アウトゲインの上のピークメーターが黄色に光っているときはリミッターが動作しているときです。

6dBFSを超えるとピークメーターが赤に変わるのでピークがつくにしても赤はつかないようにしましょう。

(音の変化を意図していない限り黄色もつかないようにしたほうが良いと思います)

 

 応用的な使い方

Rcompには入力音をEQしてサイドチェーンする機能は提供されていません。

そのため特定の帯域にコンプに引っかかってほしくない音がある場合には次のような多段のチェーンを組むことで実現できます。

 

f:id:sakuramodki:20160928125308j:image

f:id:sakuramodki:20160928125351j:image

f:id:sakuramodki:20160928125417j:image

 EQをかけてコンプをし、その後EQを逆のゲインでかけることで元の音量バランスに戻しています。

 

さて、人間の耳は音量が小さい時には2kHzを中心とした中音域が聞こえやすくなり、高音と低音が聞こえづらくなる傾向があります。

この音量によって周波数ごとの聞こえやすさをグラフにしたものが等ラウドネス曲線です。

等ラウドネス曲線 - Wikipedia

f:id:sakuramodki:20160928125911p:image

wikipediaより

 

そのためドンシャリ気味な音源に素直にコンプをかけると、聞こえない音でコンプがかかったりします。

それを補正する上であらかじめEQをかけて中音域の音にコンプをひっかける事で音量を変えた時のフワフワとした定位感を安定させることができます。

(このEQの設定は楽曲のソースごとに適宜変えてください)

 

マルチバンドコンプでも同じようなことはできますがマルチバンドコンプの場合、ミックスバランスが崩れやすいのですので、どのような調整をしたいかに応じてツールを選びましょう。